のたろんは20歳になりました。
20年前はNPO法が整備され、「ボランティア」という言葉が一般的になり始めた時期です。阪神淡路大震災をきっかけに、社会の問題を行政だけに任せるのではなく、自分たちで解決していこうという動きが大きくなっていきました。横須賀市ではその動きに呼応し、「市民活動支援策研究会」を立ち上げ、市民活動団体のメンバーや学識経験者、社協や行政関係者が市民活動の支援について検討し、提言を行いました。この提言に基づいて「市民活動促進指針」が策定され、当センターが設立しました。市民が知恵を出し合い、その声が反映されて設立された市民活動サポートセンターです。当時としては革新的な取り組みであり、全国から視察に訪れたと聞いています。
立ち上げ当初のエピソードで印象に残っているのは、印刷機の料金設定のことです。当初、市の提案では、印刷機は無料の方向でしたが、市民活動サポートセンター運営準備会で議論が交わされ、有償化が決まったそうです。それは、市民団体の自立のためには何でも無料にすればいいのではなく、必要な経費は自分たちで実費弁済するべきだという議論でした。活動のためには経費がかかります。経費を工面するのは大変なことですが、その工夫と努力が団体の体力をつけ、持続力を養うのだと思います。
20年がたち、今ではたくさんの市民活動団体が生まれ、センターを利用しながら活発に活動しています。センターの賑わいは、様々な社会課題に向き合う私たちを勇気づけてくれます。
近年、社会課題は複雑さを増し、団体単独の取り組みだけでは解決しない問題が増えています。行政、企業、市民活動団体が力を合わせないと解決しない問題が増えているのです。私たちが顔の見える関係を作り、お互いの強みを生かし取り組むことが必要となってきています。そんな時に力を発揮しなければならないのが、市民活動サポートセンターのような中間支援組織です。多様な関係者を結び付ける接着剤のような役割を担う必要があると感じています。
サポートセンターでは、登録団体のネットワーク化を進めています。「よこすか子育ち応援ネットワーク」「よこすか三浦子ども食堂ネットワーク」を相次いで立ち上げました。今はまだ子育て支援系のネットワークだけですが、現場の声を聴きながらほかの分野でも必要なネットワークを作っていきたいと考えています。
20周年を迎えるにあたり、関係者の皆さんからお寄せいただいたメッセージは、本当に温かいものばかりです。「のたろん」が皆さんから支持して頂いていることを感じます。横須賀市で施設適正化計画が検討され、サポートセンターが3階に移転するかもしれないという計画が持ち上がった時にも、市民の皆さんが検討会を立ち上げ、署名活動を展開してくださり、その計画が撤回されました。まさに、市民の皆さんの声が結集して、活動しやすいセンターを守ってくださったのです。感謝にたえません。
皆様の思いを受け止め、これからも、活動する皆さんに愛される市民活動サポートセンターでありたいと思います。そのためには、利用しやすい環境を整えるだけではなく、横須賀の社会課題に積極的に向き合い、市民の皆さんと共に挑戦を続けていくことが大切だと思っています。そして、「のろたん」や「のんたろう」ではなく、市民の皆さん全員から「のたろん」と呼んでいただけるよう、センターを一部の活動している人だけのものにせず、多くの市民の方にとって必要な場所になるよう、努力を続けてまいります。
「not alone」の精神と、支えてくださる皆さんへの感謝を胸に。
横須賀市立市民活動サポートセンター 館長 沼崎真奈美
サポセン20周年
発行 2019年11月3日
横須賀市立市民活動サポートセンター
編集
指定管理者 特定非営利活動法人YMCAコミュニティサポート
情報誌のたろん編集委員会編集ボランティア/筥崎博之 水谷崇之 小串滋彦